年末調整は難しい
年末調整の時期となり、お勤めの方には年末調整の資料が配られていることでしょう。
税務署からは『年末調整のしかた』や記載例のQRコードが配布されていますが、まだまだ書き方が難しいですね。
今回は年末調整の分かりにくい所に絞ってご紹介したいと思います。
目次
分かりにくいこと その1 扶養の範囲
扶養控除や配偶者控除は、年末調整で行うものの代表例になります。
控除金額が大きいですし、忘れずに記入していきたいですね。
よくある質問として、
◎年収がいくらまでなら扶養に入れてよいか
◎同居していない場合は扶養に入れられるのか
というのを聞かれます。
特に、配偶者や扶養親族の年収は、年末調整時点では確定していないので、予測で書くことになります。
年末になって年収が判明し、控除の金額が違っていたら個別に確定申告で対応していくことになるのですが、
実務上は気が付かない場合が多く、1~2年経って税務署から『扶養の判定が違っています』と連絡が来ることが多いです。
分かりにくいこと その2 記入漏れ
丁寧に年末調整をしているところであれば、昨年の資料と比較して
担当者が生命保険料や地震保険料、扶養控除などの記載漏れを確認してくれます。
ただ、気付きにくいところでは寡婦控除というものがあります。
死別や離婚でお子さんがいる女性が適用されるものですが、昨年より「ひとり親」の控除も始まり男性でも控除が受けれる範囲が広がりました。
こうした内容は一度適用していれば分かりますが、本人がこの控除を知らないと経理担当者では把握できないところになります。
分かりにくいこと その3 昨年からの変更
昨年新たに出てきたものとして
『給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書』があります。
名前からしてややこしくなっていますが、この資料が一番分かりにくいですね。
経理担当者の方の苦労が目に浮かびます。
※参考までに収入によって記入する人を色で分けてみました。下の「年末調整」をクリックしてみてください。
おまけ
ご承知の通り、年末調整は個人情報を沢山扱うことになります。
・マイナンバー
・配偶者や扶養親族の収入や年齢
・障害
・婚姻や離婚
など、人によっては伝えたくない内容でも会社に伝えないと正しく年末調整ができません。
こういった個人情報の取扱いの整備(分からないようにすること)が、将来的にはされていくのではないかと思っています。
参考ブログ 年末調整の変更点と今後の税金の流れ(2020年)
横浜トライ会計事務所 税理士 鈴木正宏