事業の課題 創業期と成長期
事業では『利益を上げる』という本質的な目的は変わりませんが、
そのステージによって課題が大きく変わってきます。
今回は、創業期と成長期に分けて、税理士の観点から事業の課題と対策についてご紹介していきたいと思います。
目次
創業期の課題と対策
売上を作る事
創業期に一番に注力していかないといけないのは、売上を作ることです。
まずはその事業のお客様を獲得して、認知を広めていかなければいけません。
イメージとしては、社長の仕事の9割が売上をどう上げていくかになります。
よくある失敗例は、その事業や業界のことを調べることや、起業関係のセミナー出席ばかりに時間を費やし、
直接売上に繋がる行動を起こせていないことです。
そうするよりも非効率であっても飛び込み営業などを行う方が成功への近道です。
研究することはもちろん大切なことですが、それ以上にまずは小さい売上で良いので実績を作っていくことを目標にすることをお勧めします。
その理由は、起業前に想定していたことと実際やってみて分かることは大抵違っているからです。
自分の事業に需要があるのかはお客様が答えを教えてくれます。
お客様の反応を見ながら、どの分野に需要があるのかを見極めていかなければ、事業が存続していけません。
そのため、事前の研究よりも実践の反応が重要になってくるのです。
人脈づくり
起業当初から顧客を持っている事業は、とても手堅い経営をしていけます。
自分の事業を応援してくれる人、顧客になってくれる人について、起業する前からアプローチし人脈づくりをしておきたいですね。
人脈作りは取引先や顧客に限らず、同業についても作っておくに越したことはありません。
同業の中でも助けたり助けられたりすることは多々あります。
自分の事業が立ち行かない時でも、同業の仕事を手伝うことで繋いでいる方は多くいます。
優位性の確立
事業を続け、少しお客様が付くようになってくれば、なぜそのお客様が自分を選んでくれたのか考えてみましょう。
そこが同業他社と比べてあたなの事業が優れているところです。これが分かると事業を広げる突破口になります。
まずは、既存のお客様と同じような需要をもった新規のお客様を見つけていきましょう。
固定費の圧縮
事業の違いで一概には言えませんが、固定費が少ない事業は生き延びやすいです。
固定費とは、主に人件費と家賃ですね。
どちらも高額になりやすく、一度契約するとずっと費用がかかってきますので、事業の見通しに合った支出にしていきましょう。
おまけ 税金の話
参考までに、創業期では節税など税金の話はあまり出てきません。
反対に、この時期に節税の事を一生懸命考えているのでは先が危うくなってしまいます。
税金は基本的に儲かっているところに多くかけられます。
反対に言えば、創業期にかかる税金は大した金額にはなりません。
税金のことを気にするよりも、まずは事業を軌道にのせることを優先しましょう。
成長期の課題と対策
組織作り
事業が成長期に入ると社長一人では回らなくなってきます。
営業、制作、事務など、それぞれのポジションに責任者を置き、組織を作っていくことが社長の仕事になってきます。
ここでの課題は、社内で統一した考えのもと事業を進めていくことです。
人数が増えれば考え方も多様化してきます。
そこで社長がそれぞれの目指すべき方向性を明確に提示し、一つの共通の考えで仕事を進めていくことが必要となってきます。
人の管理
成長し組織を大きくしていくためには優秀な人材の確保は必須です。
結局事業は人が運営していくので、社長は自分の意思をよく理解し行動する部下を採用し育てていかなければなりません。
または、社長が今まで身につけてきた方法を伝え、覚えてもらうことで、事業全体のパフォーマンスを落とさないように気を付けていく必要があります。
おまけ 税金の話
事業が成長してきたときに、ようやく節税の話が出てきます。
今後の資金繰りの話と一緒に、どこまで節税資金を捻出できるのかを検討することになります。
また、給与や役員報酬、社会保険料など人件費と税金のバランスにも注意が必要になってきます。
ここは経営者の考え方が大きく反映されるところになります。
どんな組織を作っていくのか、現状と未来について考えていきましょう。
まとめ
社長一人の力で何となる創業期と、従業員の力を借りて成長していく成長期では、同じ成長でも質が全く違うことをご理解頂いたことと思います。
一人の力では限界がきますが、協力してもらえれば事業はどんどん成長してきます。
協力とは内部もそうですし、外部もそうです。
信頼を積み重ねて事業を成長させていきましょう!
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横浜トライ会計事務所 税理士 鈴木 正宏