年末調整の電子化を導入するための3ステップ
2020年より年末調整の電子化が始まります。
結論からお伝えすると、最初の準備に手間と従業員の協力が必要ですが、一旦導入すると翌年以降の年末調整が大幅に楽になります。
年末調整の電子化は、年末調整が苦手・よく分からないと思っている従業員がいて、それを負担に思う経理担当者がいる事業者ほどメリットが受けられる制度です。
そして、年末調整を会計事務所に依頼している場合は会計事務所にもメリットがあります。
デメリットは、導入の手間です。
◎経理担当者は、制度を理解し従業員に導入手順を伝える
◎従業員は、データで年末調整資料を入手しそれを経理担当者に提出するやり方を覚える
最大の難関は、パソコンやスマホなど機械操作が苦手な従業員に分かりやすく説明し、間違いなく導入してもらえるかです。
目次
ステップ1 年末調整の電子化をやると決める
当たり前のことですが、年末調整の電子化をやると決めることが重要です。
というのは、電子化は義務ではありません。今まで通りのやり方も当然認められています。
新しいやり方を導入するには、従業員にも担当者にも手順を覚えてもらう必要があります。
その負担をかけても導入するという決断が必要なのです。
そして、導入すると決めたら税務署に年末調整の電子化をする届出をしなければなりません。
ここで今更と思われるのですが、実は2020年より年末調整の電子化をするには、2020年8月末までに届出をしないといけませんでした。
このブログを読んで頂いているということは、電子化を検討されている方でしょうから肩透かしを受けたことでしょう。
もう届出の期限が過ぎてしまったから来年まで関係ないかというと、実はそうではありません。
年末調整の電子は段階的な導入ができるため、届出をしていなくても一部メリットを受けることができます。
ステップ2 導入の4つのステージからどれを行うか選ぶ
年末調整の電子化には段階的な導入が認められてます。
それは従業員のやること別に4つに分けられており、便利になる順で並べると以下のように分けられます。
- 完全電子化
- 控除証明書等は書面で入手するが、年末調整資料の担当者への資料提出は電子化
- 控除証明書等は電子化で入手するが、年末調整資料の担当者への資料提出は書面
- 控除証明書等も書面で入手し、年末調整資料の担当者への資料提出も書面
1と2のステージを導入するためには、前述のように前もって税務署に届出をする必要があります。
※補足すると、届出をしていても電子化で行わないこともできます。
そして今回届出が間に合わなかった方は、3もしくは4のやり方をご検討ください。
4のステージでは今まで通りのように思われるかもしれませんが、そうではありません。
どのステージでも今後国税庁が無償で提供を開始する年調ソフトを利用することで、控除額を自動計算してくれ手間やミスを減らしてくれます。
どのステージを選んだとしても、年末調整の電子化に対応するソフトの購入が無ければ、新たにかかる費用はありません。
※マイナポータルを利用したい場合は、カードリーダーや対応スマホを用意する必要あり
ステップ3 担当者の理解度アップと従業員へのやり方告知
ここが一番厄介なところです。
従業員にメリットを伝え、全員に協力してもらうようにしましょう。
実は、一部の保険会社や銀行の電子化対応が間に合わないことが公表されています。
そのため完全電子化を目指していても今回は焦らずに環境を整備することに努めましょう。
完全電子化に向けて従業員が必要な作業は
- 保険会社や金融機関のHPから個別に情報を入手
- 上記1ではなく一括で情報を入手する場合(マイナポータル連携)は、マイナンバーカード、ICカードリーダライタ又はマイナンバーカードの読み取り可能なスマホを用意する
- 年調ソフト(国税庁より公表)のインポート
となります。
会社担当者は上記の準備の仕方を周知する一方で、自社で年末調整をする場合、対応する年末調整ソフトを用意する必要があります。
まとめ
一番のメリットは、やはり時間だと断言できます!
従業員にとって年末調整は、『毎年よく分からない用紙を渡されて、書くのにも時間がかかり、更に書き直しや資料不足で保険会社に資料請求をするなど手間がかかるもの』ではないでしょうか。
必要なこととはいえ、従業員にとっては得意でない分野で余計な手間と負担をかけられていることになります。そして、経理担当者も年末調整の説明や、不足資料の伝達を行わないといけません。
年末調整の電子化が整備されていけば、従業員は内容をよく理解できていなくても年末調整に必要な資料や情報を担当者に提出することが出来るようになります。そうなればより自分の仕事に費やす時間が増え、負担を軽減することが出来ます。
将来的には色々な手続きが電子化されていることは明白です。
やって損はしませんので一度導入を検討してみることをお勧めします。
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