日本政策金融公庫に聞いた融資のポイント
創業時や最初の融資を受けるときに、まず検討に挙がるのが日本政策金融公庫です。
今回は日本政策金融公庫のセミナーに参加し、担当者から聞いた話の中から、
公庫で融資を受けるときのポイントをご紹介したいと思います。
目次
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫は、100%を日本政府が出資する金融機関です。
そのため、日本政府の意向を反映し、通常の金融機関と異なり、
創業支援やコロナ対策融資など、中小零細企業を助ける役割を担っています。
日本政策金融公庫 HPより
他の金融機関と違うこと
1.創業融資が借りやすい
民間の金融機関であれば保証協会の保証を付けた融資となり、判断が慎重になりますが、
日本政策金融公庫の場合は直接の融資になり、特に創業融資では無担保、無保証での融資が受けやすくなっています。
これは政府が国内での起業を促進する策を打ち出していることが後押ししているためです。
2.融資金利が同じ
これはメリットにもデメリットにもなることですが、
日本政策金融公庫の融資は、どの融資制度を使うかで金利が決まっています。
例えば、今であれば創業融資は約2.4%です。
つまり、借りる側の財務体質や信用度は融資金利に影響しないくなり、財務に不安がある方にとって有利です。
公庫がみる融資のポイント
通常融資
1.貸借対照表の主なチェックポイント
公庫の融資審査において、貸借対照表は一度評価替えをされ、実態に合う金額に修正されます。
財産価値が無い資産は0円で評価され、返済不要の負債も0円となります。
具体的に言うと、資産であれば
「現金」で存在しないもの、「売掛金」で回収不能のもの、不良在庫、土地・建物の資産下落などについて、
0円もしくは時価で評価していきます。
つまりは、決算書上で無理やり資産を作っても、融資審査では意味ないということですね。
逆に負債であれば、
代表者からの借入金は負債とみなしません。これは助かる評価です。
しかしながら、「未払金」に税金や社会保険料の滞納があると審査はかなり厳しくなります。
2.損益計算書の主なチェックポイント
損益計算書では、その期だけでなく、過去2年や次期の予想が大きく影響を持ちます。
それは、売上の伸びだけでなく、原価率の変動も判断基準となり、
原価率の変動から売上構成に変化があるかが確認されるところです。
加えて、その期の決算書で注目されるのは、減価償却費の有無や雑収入・雑損失の内容です。
イレギュラーな変動値として最終利益に影響を及ぼしますので、現状把握としても気になるところですね。
3.融資判断
上記のように資産や負債を組み替え、損益計算書をみて返済余力を判断します。
基本的な考え方として、この返済余力が融資の判断基準になります。
補足としては、返済余力が少なくても経営者個人の資産があれば審査は有利に働きます。
また、他の借入先、民間金融機関の借入額、返済額の大きく影響を持ちます。
例えば、同じ借入でもカードローンであると評価は下がってしまいます。
創業融資
創業融資では、財務データがないことや、あったとしても情報量が少ないため、
財務データからの判断よりも、経営者個人の能力や将来のプランによって判断されることになります。
1.経営者の能力
その事業に必要な資格の有無やそれまでの経歴が見られるのは当然のことです。
それに加えて、創業までにどのような準備をしてきたか、人脈や販売ルートが確立されているのかについても、経営者能力として大きな判断基準になります。
2.ビジネスプラン
創業するからには、経営者の方はその商品やサービスに自信があることがほとんどです。
そこで注意すべきことは、その優位性が主観ではなく、より客観的に伝えられるようにすることです。
例えば、競合他社の状況、業界の状況、立地などを踏まえて、どこが優位でいくら売り上げが見込めるかを
具体的に計画書に落とし込んでいく必要があります。
3.創業融資のまとめ
上記2点を踏まえて創業計画書を作成していきますが、そこでの公庫の基本的な考え方として、
『設備資金は中古を利用するなど最低限で、運転資金は余裕をもって』とおっしゃっていました。
黒字化できた企業でも、黒字化まで平均6.3ヶ月かかるとの実績値があるため、運転資金は余裕を持った方が良いですね。
そして、より客観的な調査や予測の元で資料を作成することで、より説得力のあるものが出来上がります。
まとめ
いかがでしょうか。実際の面談でどこまでヒアリングされるかは公庫担当者によって大きく異なりますが、
計画書を綿密に作り上げることで、融資実行確率は大きく上がります。
事業の発展のために、必要に応じて融資を活用していきましょう!
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横浜トライ会計事務所 税理士 鈴木正宏