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従業員を外注扱いにするために注意すべきこと3点

消費税や社会保険料の負担を減らす節税策の一つとして、従業員を外注扱いにするというものがあります。
税理士事務所にいると、クライアントの社長から何度かこの質問や相談を受けることがあるのですが、この節税策について検討してみたいと思います。

 

目次

 結論

実態を伴わない外注化は認められません。
安易な節税は脱税と思われ、重加算税の対象になりますのでご注意ください。

まず結論から紹介させて頂きました。
事実を捻じ曲げた外注化は認められず、法人税、消費税の追徴だけでなく源泉所得税の追加納付、また仮装隠ぺいによる重加算税の対象となりますので、慎重に検討しないといけないところです。

では、どういうケースが外注として認められるのかを以下で紹介したいと思います。

 

 給与と外注費の違い

まず大きな違いとして理解しておかなければいけないこととして、
給与=雇用契約
外注=請負契約、業務委託契約  になることです。

つまり消費税の取り扱いも、『雇用』なのかそうでないかが判断基準になります。
但し、外注扱いするために契約書さえ揃えれば良いというものではなく、総合的に判断されるということに注意しなければいけません。

 

雇用と外注の違い1 労働か成果か

大前提として、給与は労働の対価として支払われるもので、外注費は成果の対価として支払われるもの、と理解していることが重要です。

簡単に言うと、給与は事業者の指示のもと働いていれば支払われますが、外注費は完成物を提供した見返りに支払われるものです。

こうした考え方が基本ですので、外注扱いになるには、その人の裁量で仕事を行う必要があります。

 

雇用と外注の違い2 監督下か自由裁量か

雇用されている場合は、その監督の下、時間や場所が指定され、労働に必要な道具の支給が行われます。
対して、外注の場合は、依頼者の監督の下では行われません。時間や場所も自由で、成果物を納品するで対価が支払われます。

そのようであるため、遅刻や残業、タイムカードというのは、雇用にのみ発生するものです。外注の場合に存在していたらおかしいということになります。

 

雇用と外注の違い3 その他

外注の場合は依頼に応じて契約書を交わすことが一般的で、その内容によっては依頼を断ることができます。
また契約に応じてですが、依頼された仕事の一部または全部を他の者に委託することもできます。

以上が主な違いになります。

 

 従業員と外注の消費税の取り扱い

さて、今までの話の前提となる消費税の考え方の違いについて紹介したいと思います。

まず、従業員への給与は消費税上「不課税」となり、税金はかかりません。

これは『給与・賃金・・・・雇用契約に基づく労働の対価であり、「事業」として行う資産の譲渡等の対価に当たらないからです。』 ※国税庁タックスアンサーより

 

一方で、外注者への支払いは請負契約や業務委託契約になりますので、課税の対象となるのです。

例えば、110万円を給与として従業員へ現金で支払った場合は、
「給手当 110万円 / 現金 110万円 」となりますが、

外注費として110万円支払った場合は
「外注費  100万円 / 現金 110万円 
 仮払消費税 10万円  」
となります

 

一見、給与手当の方が外注費より大きいので給与の方が節税になるように思われるかもしれませんが、トータルの納税では外注費の方が少なくなることになります。

というのは、確かに利益は給与の方が減りますが、それ以上に消費税の納税が減る効果が大きいためです。
例えば上記の例では10万円の利益の差額が出ますが、法人税等で考えると納税の差は約4万円です。
10万円×法人税等の税率約40%=4万円

そして、消費税で考えると「仮払消費税 10万円」はそのまま還付の金額となりますので、全額の10万円が納税を減らすものとなります。

こうした考えにより、今回の節税策を考える事業者が多いということになります。

 

まとめ

外注費は脱税のため利用されることが多く、税務調査で狙われる重要論点の一つです。
また、従業員にとっては、外注になると自分で健康保険料等を支払い確定申告も行うなど、負担が増すものです。
安易に考えず、くれぐれも実態に伴わない外注化はしないようにご注意ください。

 

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