融資の可能性を1%でも上げるためにすべきこと
融資は一般的に次の3つに分けられます。
1.創業融資
2.運転資金融資
3.設備投資融資
これらの融資を受けたいと思った時に、それぞれ重要になるところは変わってきます。
しかしながら、まずは共通する考え方を抑えてから個別の課題に取り組むのが良いでしょう。
そこで、融資計画書の作成において共通となるポイントと個別のポイントを紹介したいと思います。
目次
共通するポイント
返済できること
当たり前のように思うでしょうが、融資の申し込みとなった時にこの視点が抜けてしまう方が多いです。
よくある失敗例としては、「融資を受けて自分の事業がこれだけ成長します」と書くだけで、
月々いくら儲けられて、いくら返済していくことができるかについて、全く言及しない計画書です。
金融機関は、お金を貸して利息を得ることで成り立っています。
反対の立場になれば、返済の予定が分からない会社には貸したくないという理由は分かってもらえると思います。
そこで必ず返済計画を具体的な金額を添えて出すことを心掛けましょう。
必要な資金であること、目的に沿った資金であること
一部例外を除いて、融資を申し込むのは会社にとって資金が必要だからです。
そのため、融資は申し込み内容に合ったものでなければいけませんし、不要なものの融資は受けられません。
よくある問題となる事例として、別の目的で借りておいて、社長への借金返済に使うことや、
株式投資・FXなどの投資商品の購入資金に使うことです。(不動産投資は目的に沿って可能です)
このような投機になるような商品購入には基本的に融資がおりません。
信用できる会社・社長であること
過去に融資返済が不能になったことがある場合や、社長がクレジットカードを滞納したり自己破産したりした場合など、
いわゆるブラックリスト入りである信用状況に傷がついた状態だと融資は下りなくなります。
通常5年程度このような情報が共有されており、自己破産だと最長10年という場合もあります。
上記の場合は、融資を受ける際に門前払いを受けてしまうほどの事例になります。
そうでない場合でも信用力はとても重要な指標となります。
創業融資のではこれまでの社長の経歴や実績が、今後取り組む事業の成功にどれだけプラスに働くか判断されますし、
運転資金の場合は、過去3年程度振り返って利益を出せる体制になっているのかが見られることになります。
創業融資で重視されること
過去ブログの「日本政策金融公庫に聞いた融資のポイント」で紹介しましたが、
ポイントは大きく2つ、経営者の実績とビジネスプランです。
経営者の実績
経営者の実績では、これから始める事業との繋がりが重視されます。
つまりは、全く異業種を経験してきた経営者が新規事業に取り組む場合、その業種・業界での実績が無いため、低く評価されてしまいます。
一方で、サラリーマン時代からその事業の経験があり、独立のために準備を重ねてきた場合には実績があるとみなされます。
特に事業に必要な資格を取っていたり、販路を既に確保していたりする時には高く評価されます。
ビジネスプラン
競合他社と比べてその事業が優位であることを示しましょう。
また、今後の営業方法を付け加えるのも効果的です。
創業時では売り上げ予想が難しいでしょうが、同業他社の動向から少しでも客観的な資料を集めて予想を立てていくことがお勧めです。
運転資金融資で重視されること
融資の内容
1年以上事業が続いた後に、今後の運転資金の融資を受けることがあります。
そのときの運転資金では内容が注目されます。事業拡大のためなのか、当面の資金繰りのためなのか。
当然に、資金繰りが厳しくて融資を申し込む場合は審査が厳しくなります。
返済計画についてはより綿密に作りましょう。
不明瞭な会計を無くす
融資を申し込む際には過去の決算書の提出が必須となります。
よく言われるのが直近2期分の決算書の提出と、現在進行の期の試算表の提出です。
そうしたときに金融機関が注目するところは、不明瞭、不自然な科目残高が残っていないかです。
多額の仮払金・仮受金、過剰な棚卸資産や短期借入金などがあると審査では、その分マイナスされて評価されます。
特に融資を申し込んでいるのに、貸付金がある場合には注意が必要です。
日頃から不明瞭な会計処理を減らすよう心掛けましょう。
返済実績
過去、金融機関からの借入に対して返済計画通りに返済を続けていると、それが実績となって次に融資の申し込みをしたときに審査に通りやすくなります。
これは、返済実績はいわば信頼の積み重ねだと考えられているためです。
設備投資融資で重視されること
設備購入代金の計画との一致
設備投資での融資申し込みでは、購入先の請求書を付けて申し込むことが一般的です。
これは不動産投資でも同様で、募集チラシなどで購入するものの価格を明らかにしていきます。
問題となるのは、融資申し込み時点での設備代金と実際の設備代金が大きく異なる場合です。
例えば、設備代金を高く見積もっておいて融資を余分に受けることです。
これは不正融資となり金融機関からの信用を一気に失います。
最悪の場合、一括返済を迫られることもありますので注意しましょう。
設備投資から得られる利益の見込み
設備投資では投資資金が大きくなりがちです。
そのため設備導入後のどれだけ利益が増えるのか(キャッシュが増えるのか)は、とても重要な指標となりますし、
最初から計画が狂うと返済がとても難しくなります。
これまでの販売実績がある商品やサービスへの投資であれば、その数字を根拠として利益の見込みを作りましょう。
これは楽観的な見込みであってはいけません。事業は何が起きるか分からないものです。
実現できる固い売上や利益の見込みを立てましょう。
新規事業への設備投資の場合はより綿密な返済計画が必要です。
既に販売先が決まっている場合には、その内容が分かる資料(契約書など)を用意し融資申し込みの時に提示すると良いです。
まとめ
将来のことは誰も分かりません。
しかしながら、過去の実績や現状、競合他社との優位性を踏まえて、具体的にイメージできるところまで落とし込むことです。
これまでご紹介したような相手目線に立った資料作りが必要になってきます。
こうした準備は必ず相手に伝わります。融資の可能性を1%でも上げるために工夫をしていきましょう。
参考ブログ 日本政策金融公庫に聞いた融資のポイント
横浜トライ会計事務所 税理士 鈴木