事業の内容を把握するために簡単にできること【試算表編】
皆さんは事業の業績を把握するのに何をみていますか。
その代表的なものとして、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)があり、経理担当者や税理士等から報告を受ける際も、これらの資料を用いることが多いと思われます。
ただ、毎月説明をうけているけどいまいち業績が正しく把握できないことや、毎回同じ確認をしてしまうことはありませんか。
それではせっかく作った試算表を活かせていません。今回は試算表を経営に活かす方法をご紹介していきます。
目次
試算表を作り変える
簡潔に申しますと、試算表を独自に作り変えてしまえば良いのです。
勘定科目は、既存の名称にはこだわらず分かりやすい名称に変えてください。
例えば、「支払手数料」を「△△銀行振込手数料」と「◎✖会社クレジット手数料」に分けてしまいます。
他にも、「売上高」ではなく「○○部門売上」や「✖✖株式会社売上」というように、自社の経営にとって重要になる項目については、独立した科目にするのです。
と言うのは、会計ソフトでは、上記のように分ける場合には補助科目に設定することが一般的ですが、それだと試算表では合計されて表示されてしまい、毎回会計ソフトの入力内容を確認しなければいけないからです。
『試算表は、決算報告書として税務署や金融機関に提出することがあるから、そんな勝手な科目名に変えていいの?』と思われる方も多いでしょう。
良いんです!どんどん変えてください。
試算表の本来の目的は、その事業の内容を知るためにあるのです。
その目的を果たすためには、一般的な勘定科目の分類にこだわらずに、独自の仕様に変えれば良いのです。
極端な話、一回限りの取引でも分けておきたいと思ったら、その勘定科目をつくってしまっても良いのです。
そして、例えば弥生会計であれば、試算表の科目は独自のものを使っておいて、決算書に乗せる勘定科目は一般的な科目に戻す設定ができますので、そのように修正してください。
部門やプロジェクトを切り分ける
業績の把握の基本は、細分化と明確化です。
会計ソフトによって出来るものとそうでないものはありますが、部門別管理ができるソフトであれば、損益項目は部門で分けていきましょう。
そして、その部門ごとでの収支を把握して業績改善に役立ててください。
部門ではなく商品別に勘定科目を作り、利益が出ている商品とそうでない商品とを選別するのも良いです。
貸借対照表(資産、負債、資本)の項目は、把握が難しければ部門別にする必要はありません。
税務顧問料などどの部門にも属さないものは『共通』という部門を作成し、それを各部門に配布するやり方をお勧めします。
配布の基準は、売上や従業員数を根拠にしていきます。
変動費と固定費を分けて集計する(管理会計の導入)
これまで説明してきたように、会計事務所が作る財務諸表(貸借対照表や損益計算書)は、事業に直接役立つ資料というより、外部報告資料として作成されるものです。
ここでいう外部報告とは、税務申告のために資料や金融機関に提出される資料のことを言います。
では、これらの資料を経営に役立つ資料に変換させるために必要なことは、管理会計の思考を導入することです。
管理会計といっても難しいことではなく、勘定科目を変動費と固定費に振り分け、その部門や商品での損益分岐点を知ることです。
利益率や固定費を把握することで、採算の悪い部門や商品を洗い出し、販売単価の変更の影響や最低限必要な売上個数の理解が出来るようになります。
まとめ
会計データは過去の業績を把握するためのものですが、アレンジして使えば今後の事業のためにとても役立つ指標です。
分かりやすい試算表は、それを見る者に事業の細かな変化を伝えてくれます。その変化を感じ取ることは事業にとってとても有益です。
少しの手間で多くのメリットが受けられます。固く考えずに柔軟に活用してみてください。
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